こんにちは。大阪市、大阪北部を中心に行政書士として活動しております井田でございます。

「トラック運転手不足、兵庫も深刻 法令違反相次ぐ」神戸新聞
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201712/0010804743.shtml
「兵庫県内の対象事業所の約9割で法令違反が発覚した。」

法令違反は昨今の労働力不足に伴う長時間労働によるものも多くあるかと思われます。
残業のすべてが違法となる者でなく会社が労働者に法定労働時間を超えた残業をさせる場合には適正な手続きが必要です。

労働者の労働時間は労働基準法第32条による法定労働時間が定められています。
会社が従業員に対し法定労働時間外の残業を行わせる場合は、労働基準法第36条第1項に規定されております労使協定を一定の手続きを経て締結しておくことが原則です。この協定をサブロク協定といいますが、協定を結べば無制限に時間延長をできるかと言えばそうではありません。限度基準が決められています。[平成10年労働省告示第154号]

運送業のトラック運転手に関してはそのまま上記のような原則の労働基準法が適用されるわけではありません。

限度基準の適用除外[平成11.1.29基発第44号]

1.工作物の建設等の事業
2.自動車の運転の業務
3.新技術、新商品等の研究開発の業務
4.季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として労働基準局長が指定するもの

上記に挙げられた業種については先ほどの限度基準は適用外となります。

しかし厚生労働省より以下の告示がなされております。

自動車運転者の労働時間等の改善の基準[平成元年労働省告示第7号、最終改正平成9年労働省告示第4号]
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html

この告示によると「労働時間」ではなく「拘束時間」の上限が定められています。
運送業の運転手の仕事は業務によって、荷卸し待ちや、荷積み待ち、製造待ちにより実際に労働はしていないが拘束される時間が多く発生します。一般的な業種と違い単純に労働時間のみの制限では労働者の拘束時間が非常に長くなることがあるのです。これはバスやタクシーの運転手も同様です。
業務の実態に合わせた規制と言えるでしょう。

最近はブラック企業問題等で行政側も監視を強化してきております。
適正な手続きで適正な雇用体制を整え経営維持していくことが非常に重要となってきます。

こちらの「改善基準」は「法律」ではありません。しかし労働基準法第32条に関し厚生労働省が出している告示という事で、違反があった場合は労働基準監督署からの行政指導の対象となるとの事です。
また、運送業(一般貨物自動車運送事業)については経営許可が国土交通省の管轄となっており、違反がみられた場合はこちらの許可に対し、営業停止や許可の取消し等の行政処分を行われるようです。

このように原則の法律以外の規制というのも多く存在しており、気づかぬうちに法令違反となっているケースがありますのでご注意ください。